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LONG SONG FILM

だれかに なにかに 
すがっていたい

そんなときって、意識のなかに埋没してわからないふうにして、
みんなのなかに きっとある。

じぶんの感覚とか、
目の前にあることとかを、
ていねいに研ぎ澄ましたり、
まっすぐ見たりできなくなってしまう。

まるで、いっきに古びてしまってうごけなくなった道具、みたい。
強がっているようで、じつはすっからかん。
あれ。わたし なにがすきで きらいだったんだっけ?
いつのまにか、どこまでもどこまでも来てしまったけど、
目はずっとくらんだまま、わたしいま、どこにいるんだっけ?

あれれ。
まわりは、思い出やら、プライドやらでごったがえしている。


このたび、川上弘美さんの『古道具 中野商店』を、
やーーーっと 読み終えました。

ひとが決める、ものの価値というのは、とってもあいまいで、
ひつよう というひとがいたり、
いらんよ というひとがいたり。
まったく、わからないことだらけ。
だけども。
ちょっと、みすぼらしくてさえないと思われていたものが、
ちがう時間と、場所と、ひとの手にわたることによって、
味わいになって、
あたらしく呼び戻され、またおおきく鼓動しはじめるのは、
このあいまいさがあるおかげなのだ。


淡々と。それとなく。くりかえしの日々。
中野商店を、ゆらゆらとめぐる。
あたらしい場所を探すために在る道具たちには、
よくかんがえてみると、
ドラマチックで、どでかいできごとが、ときどき起こっている。
そこで働くひとびとにもまた、ほんのりと。
おなじようだけど、やや、へんてこ。

しらずしらず、
失ったり、捨てたり、別れたり、くっついたり、ひろったりして。

わからない世界をもぐって 
埋もれてしまいそうなギリギリのところをすすんで 
決断をして ようやく見つけたもの。
言えなかったことば。
たしかな気持ち。

あいまいの裏側にきて、
やっぱりすきです、と言いたくなる。

読み終わったいま、
はっきりと。 
どうしちゃったの、というくらい。
つくづく、それはもうほんとに。
ほんとーうに。スポーンと。
すがすがしいのです。

古道具 中野商店 (新潮文庫)


映画になったらいいのに。
せつじつな、きぼう。

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しずかなとき

きょうは、ほんとひさしぶりに、
大学に行ってきました。

トロンボーンのれんしゅうをするため、です。

日曜日だから、だーれもいなくって、
しずかで、なんだかかすんだ色をしている音楽ホールで、
わたしは、たくさん息をすいこんで、
おもいきり音を出してきました。
管楽器という生き物には、
やっぱりひろくて、吹き抜けている場所がいちばん似合うんだ。

こうやって、ずーっと、クラシック音楽のなかにただよいながら、
よくわからず、スライドもうまくうごかせなくて、
まちがって、まよってばっかりだったけれど、
たくさんのブレスと、
かさなりあう響きが ぶわーーっと洪水のように湧きあがって
ひろがっていくのを感じるとき。
わたしはとってもしあわせだ って、おもう。

きもちときもちが つながった と、おもう。

こんなことも、あるんだなあ。
いろいろと反省するところもありますが。
すすんでいくしか ないのです。

お昼休み。
かつて、わたしが住処のようにこもっていた
おんぼろの練習室にも行ってみると、
いまもかわらず、きゅうくつそうにピアノが置かれてありました。

ぽぽ・・ろん・、と、調律が微妙にずれているのが、
たまらなく、いまのじぶんのようだったり、
ともだちのようだったり、どこかほうっておけない音がしました。
コードを指でおさえると、
ピアノは、ちいさな声で、たよりなげに、うたっていました。
雨のしずくが、窓にくっついているのを、見ていました。

こうやって、呼吸している限りおわらない。
やっぱり。音楽は旅 なんだ。。。
そんなことを、ひたすら、おもっていました。

あしたから ひときわさむくなるみたいです。
じぶんの好きなメロディーひとつ、
カバンとこころに詰め込んで、
マフラーと手袋もわすれずに、また、行ってきます。


 楽譜 原田郁子 たのしい弾き語り名曲集

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まどさん

まどみちおさんの詩集を、
読みました。

午後のミスタードーナツで。

となりにすわっていた奥さんと、そのともだちが、
おおきなこえで、家族のわるぐちを言っていたよ。

このひとたちには、なんにも見えていないんだ。

わたしも、ふにゃり。
いきおいにまきこまれて、
だれかのせいにしたくなって、
ときどき、ゆがんでしまいそうになるんだけど。


  「どうしていつも」

 太陽 月 星

 そして
 雨 風 虹 やまびこ

 ああ 一ばん ふるいものばかりが
 どうして いつも こんなに
 一ばん あたらしいのだろう


みじかいことばで、
まどさんはいつも すくいあげてくれる。
そのやさしいまなざしに。
なんだかちょっと照れますが。
そっと。くちづけをしたくなるのです。


まど・みちお詩集 (ハルキ文庫)

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